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恋はデジャ・ブのKtoのレビュー・感想・評価

恋はデジャ・ブ(1993年製作の映画)
4.0
【ひとこと説明】
高慢な性格の男が、同じ日を繰り返す超常現象に巻き込まれ、自分の性格・行いを直していく中で、叶わぬ恋を叶えていく話。

【感想】
2月2日に行われるグラウンドホックデー groundhog dayが原題。

"ループもの"の古典的名作。構成はシンプル、教訓は明快でありながら、コメディの質が高くいま観てもとても面白い。

兎に角「高慢で嫌な奴」であるフィルが、ループによって悩み、苦しむのが面白い。出発率は80%、警察から逃げて線路を走るなど、90s米国映画らしくストレートなギャグが多くて楽しい。

一度は自暴自棄になるが、死にきれない苦しみ。

リタを口説くのに何度もループを利用して予習するところが面白すぎる。理想の男のタイプを聞いて「それは…俺だな」とか、世界平和に乾杯とか、絶対面白いじゃん...。

ループを重ねるうちに、「自分はセレブリティで大事にされるべきだ」という利己的な姿勢が変容していき、利他的な人間になる。様々な人を助けることで、町中の人気者になり、結果的にリタの心も掴む。

制作者の意向はさておき、このあらすじがニーチェの永劫回帰を意識させることは間違いない。万物は繰り返し、キリスト的目的もないために物事の価値が否定された状態を具現化している。そこで永劫回帰を受け入れようとする状態、つまり「力への意志」的態度が発現してきたフィルが、ニヒリズムを脱却し運命愛に至った話とも(拡大)解釈できる。

feel good movieだ。
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