森もり子

大脱走の森もり子のレビュー・感想・評価

大脱走(1963年製作の映画)
4.5
名作って言ってもさすがに古いし長いよなあと観始めたんだけど、めちゃくちゃ面白くてびっくりした。ずっと緊張感が持続するしユーモアもあって一気に観終わりました。
個性豊かなキャラクター(情報家、調達屋、仕立て屋みたいな役割がそれぞれにあって楽しい)が良い。
トンネル掘るというのは有名だけど、収容初日から色んな手でそれぞれが脱走企ててるの笑った。

これ捕虜収容所であるってのがすごくいい舞台設定で、なるほどなあと思ったのが、脱走の目的が「自由になること」だけじゃないところ。冒頭で出てくるんだけど「軍人として捕虜となれば脱出することは義務である(敵を後方撹乱させ軍事力を削ぐため)」という理論があるようで、これによって脱走劇がすごく多層的になって、単なる脱獄ものとは一線を画している。ここらへんとても好きですね。
あと刑務所とかだと傲慢な看守とか乱暴な囚人とか汚い生活環境とか出てきて、たまにすごいしんどいときあるけど、それもなくて、所長は同じ軍人として捕虜に敬意を払っていて全然悪人ではないし、みんな規律正しく生活できている。ある程度の自由も与えられて一見すると苦しい収容所生活ではないところが、ストレスがなく娯楽作品として楽しめる舞台設定になっているなあ、と。
全く古びていないとは言わないけど、いま観ても楽しめる名作でした。
森もり子

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