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大脱走のGijoeGoのレビュー・感想・評価

大脱走(1963年製作の映画)
4.0
タイトルの意味がようやくわかった。
1人2人脱獄するのではなく250人脱獄させる計画とはまさにスペクタクル!
しかも脚色されてるとはいえ実話というのだからディテールがリアルかつドキュメンタリーの様なタッチでドキドキハラハラしっぱなしだった。

壮大な計画なので関わる人物も多数いてナチスの人物も色々登場するが、皆個性的なので混乱する事はない。
スティーブ・マックィーンが主役のスター映画だと勝手に思っていたが立派な群像劇だった。
それぞれのスキルを持ち寄って目標達成するプロセスがまるで映画製作のようだ。

プランを立てる者、偽造書類を作る者、穴を掘る者、道具を作る者、色んな物を調達する者、撹乱させる者とチームワーク無しではなし得ない。

しかし戦争なのでビターなラストに痺れる。脱獄に成功した者、失敗で逆戻りした者、死んだ者とそれぞれの幕引きにグッとくる。

オープニングで曲が流れるがあの聞き覚えのある曲は大脱走のメインテーマ曲だったのか!と納得。いい映画には良いテーマ曲。

収容中はシンドイだけで無く味方同士、敵味方同士のやり取りがユーモラスで観ていて楽しい。

それが後半の危機的状況になった時に関係性が生きてくる。
使命や友情を超えた何かを観たような気がした。飛行機で逃げた者、ボートに乗った者、汽車に乗った者、ヒッチハイクした者、自転車泥棒した者など、それぞれの個性的なルートがまた見せ場を作り盛り上がる。
面白く感じたのは盛り上がるパートがいくつもあるからか。
冒頭すぐカジュアルに脱獄、隠れて穴を掘る、その他の下準備をする、密造酒で独立記念日、脱獄発覚、脱獄実行、脱走中、その結果と山がいっぱいなのでテンポが超イイ!

説明や舞台背景など余計な情報は避けてシンプルな人間模様と脱出劇にしたのも観やすくて良かった。脱獄後のドイツとスイスの国境の風景が素晴らしい。

そんな場所にバリケードを組むとは本当に戦争は愚かだとわかる。

反戦映画としても一流だった。

芝居も最高。
チャールズ・ブロンソンが穴掘り王だがまさかの閉所恐怖症だったり偽造書作りの名人が視力を失ったりとキャラクターにも奥行きがあるので皆、魅力的だ。

脱獄モノは数多あるが確実にトップレベルに君臨する一本。
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