中学の吹奏楽部で何度も何度も演奏した
「大脱走マーチ」イントロのスネアドラムを聴くだけで、鮮やかに記憶が甦る
けれど
映画自体は、未鑑賞で。
スティーブ・マックイーンという名前は知っていても
どんな人なのかもよくわからない
午前十時の映画祭、畳み掛けてきます。
行くしかないでしょう!
まず驚いたのが、脱走に関する意識
連合軍ラムゼイ大佐が毅然と言う
「脱走して敵軍を混乱させるのは将兵の義務である」
逃げること=悪いこと、カッコ良くないこと、じゃないんです。
だからこそ、○回脱走したか、が自慢のタネになる世界
トンネルを掘って、250名もの捕虜を脱走させる…
しかも、その収容所は脱走のスペシャリストたちをまとめて"腐った玉子を一つの籠に"入れた、脱出不可能と言われる場所
そんな無謀なチャレンジに懸ける男たちの熱いドラマ…実話なんですね。
各方面のプロが収容されていたことから、
困難と思われた計画も進んでいきます。
はじめは見分けがつかなくて少し分かりにくかったのですけれど。
徐々にそれぞれのキャラクターが分かると、
俄然面白くなります。
もちろん、スティーブ演ずるヒルツのカッコ良さは群を抜いているのですけど
私は、むしろ弱さや脆さが出てしまった者たちに愛着が湧いてきて。
幼い頃からの閉所、暗所恐怖症を隠してトンネルを掘り続けたダニー
いざ、脱出の際の彼の狼狽ぶりと、彼を支えたウィリーの友情にじんときました。
"モグラ"のアイブスが精神的に追い詰められて、最期には…というところも切なくて
調達屋、仕立屋、測量屋、情報屋、偽造屋…
みんなの、想いはひとつ
ここから出たい
実話だからこその、
脱出劇のリアリティと、脱出後の結末
やるせない想いを、ダニーとウィリーのボートからの風景が癒して…