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大脱走のjamのレビュー・感想・評価

大脱走(1963年製作の映画)
3.9
中学の吹奏楽部で何度も何度も演奏した
「大脱走マーチ」イントロのスネアドラムを聴くだけで、鮮やかに記憶が甦る

けれど
映画自体は、未鑑賞で。
スティーブ・マックイーンという名前は知っていても
どんな人なのかもよくわからない

午前十時の映画祭、畳み掛けてきます。
行くしかないでしょう!


まず驚いたのが、脱走に関する意識

連合軍ラムゼイ大佐が毅然と言う
「脱走して敵軍を混乱させるのは将兵の義務である」

逃げること=悪いこと、カッコ良くないこと、じゃないんです。
だからこそ、○回脱走したか、が自慢のタネになる世界

トンネルを掘って、250名もの捕虜を脱走させる…
しかも、その収容所は脱走のスペシャリストたちをまとめて"腐った玉子を一つの籠に"入れた、脱出不可能と言われる場所

そんな無謀なチャレンジに懸ける男たちの熱いドラマ…実話なんですね。

各方面のプロが収容されていたことから、
困難と思われた計画も進んでいきます。
はじめは見分けがつかなくて少し分かりにくかったのですけれど。
徐々にそれぞれのキャラクターが分かると、
俄然面白くなります。

もちろん、スティーブ演ずるヒルツのカッコ良さは群を抜いているのですけど
私は、むしろ弱さや脆さが出てしまった者たちに愛着が湧いてきて。

幼い頃からの閉所、暗所恐怖症を隠してトンネルを掘り続けたダニー
いざ、脱出の際の彼の狼狽ぶりと、彼を支えたウィリーの友情にじんときました。

"モグラ"のアイブスが精神的に追い詰められて、最期には…というところも切なくて

調達屋、仕立屋、測量屋、情報屋、偽造屋…
みんなの、想いはひとつ

ここから出たい

実話だからこその、
脱出劇のリアリティと、脱出後の結末

やるせない想いを、ダニーとウィリーのボートからの風景が癒して…
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