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旅するジーンズと19歳の旅立ちのhariのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

原作より

「自分の人生、自分でまじめに考えずに、だれが考えてくれるの? 今わたしがなろうとしているのは、今後の人生ずっとつきあっていくことになる人だ。自分が選択したことすべてが、その人を形成する一因となる。だからこそビーは、こんな自分ではいけないと思った」

「つらいことをさけていたら、ほかのすべてもさけることになる」

「心というものは大事にしまっておくより、たまには外に出して、イヤな目にあわされたほうがいいのだ」

原作の2から4を1作にまとめているので、物足りなく感じてしまうところもあったけれど、でも良かった。
原作で描かれた「美大に進むために勇気をだして家族と向き合うレーナ」「いい子の殻を破るコストス」「どん底の状態から祖母との交流で自分を取り戻し、エリックと正式に結ばれるも生来の危うさゆえに羽目を外しかけ、しかし自分の力で自身を立て直し、諦めかけていた父と弟との関係を取り戻そうとするブリジット」「貞操以外にも戻らないもの(別れる前とよりを戻した後の関係は元通りにはならない)があると学ぶティビー」「自分の子供っぽさ、あらゆる至らなさを痛感しながら少しずつ成長していくカルメン」などの姿を映画でじっくり見てみたいと思うくらいには、キャストや映画の雰囲気が作品に馴染んでいた。

原作のラストでは、本人の口から明かされるコストスの凄まじい成長に驚いた。映画だと嘘つきな女性に騙されてのこのこレーナの元にやってくる情けない男性に見えてしまうけれど、原作ではそこでレーナに拒絶されたことがきっかけで、周囲から褒めそやされるいい子でいることをやめ、一皮むけた男性なるので、レーナとコストスのこの先をより応援したくなる。
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