たた

おばあちゃんの家のたたのレビュー・感想・評価

おばあちゃんの家(2002年製作の映画)
4.3
嗚呼おばあちゃん!(´;ω;`)

押し付けがましくもない、恩着せがましくもない、
孫の世話をするという義務感や使命感でもない、
自然体の、無条件の、おばあちゃんのおだやかな優しさに、涙せずには居られない、最高峰のおばあちゃん映画!


クソを100個付けても足りないくらいの、都会育ちのクソガキと、ひたすら無口でおだやかな山暮らしのおばあちゃん。
しばらくの間、二人で暮らすことになるんですが…

おばあちゃんは、読み書きが出来ません。
口も利けないし、耳も悪いみたいです。
曲がった腰でよぼよぼ歩き、最低限の身振り手振りでしかコミュニケーションが取れないおばあちゃんを、8歳くらい?の孫はバカにしてる。暴言も吐く。

最初からもう、観てる側は、クソガキを殴り飛ばしたい衝動に駆られるわけですが…

おばあちゃんは、孫を叱らないのです。
生意気わがまま言い放題でも、ツボを割られても、かんざしを盗まれても、怒らない。
それどころか、孫のわがままを、おばあちゃんなりに、出来る限り叶えようとします。

甘やかしとか、過保護って言葉が、当てはまらないんですよね。
気が弱くて孫のDVに耐えている図式でももちろんない。
台詞がないし表情もほとんど変わらないから、おばあちゃんの考えていることはよくわからない。
孫とのコミュニケーションに戸惑う様子がほんの少しうかがえるだけで、あとは微妙な表情や仕草から読み取るしかないんだけど、
やっぱりわからない。
ただ、夜の凪の海に身を任せてぷかぷか浮いてるような気分になる。
海の底にはきっと、おばあちゃんの悲しみや喜びや若い頃の苦労と幸せ、もしかしたら憎しみなんかの良くない感情も沈んでいるかも知れない。
そんなことを、何となーく、じわじわと感じるだけ。
孫はどこまで感じ取れたかはわからないけど、バカにしつつも心を通わせるようになって、ようやく最後に気付くのでした。
おばあちゃんが何度か見せた仕草の意味と、深い優しさに。
と同時に、お別れの時…


映画界でおばあちゃんと言えば、僕のなかでは北林谷榮さん(となりのトトロ、大誘拐、阿弥陀堂だより)、最近では樹木希林さん。(あと、映画メインではないけど平良とみさん)
この3人に匹敵する存在感を放つおばあちゃんが、素人だったとは驚き。…素人だからこそかなー
たた

たた