茶一郎

三匹の侍の茶一郎のレビュー・感想・評価

三匹の侍(1964年製作の映画)
4.4
【短】世界の黒澤明が「映画」なら「テレビ」は五社英雄。伝説的テレビプロデューサーにして、日本のテレビドラマ出身の映画監督第一号である五社英雄監督自らによる、大ヒットドラマ『三匹の侍』の映画化が今作『三匹の侍』になります。

 元のドラマ『三匹の侍』は金属音や、殺陣の効果音を初めてテレビ時代劇に導入した作品としてエポックメイキングな作品として語り継がれているものですが、その迫力の時代劇演出は映画版=今作『三匹の侍』でも健在。『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督も劇中のライトセーバー戦が今作の殺陣シーンに影響を受けたということを公言するほど、今作の影響力は計り知れないものに思います。

 今作における流れ者のアウトロー侍が百姓を助けるという構図は、『七人の侍』を想起させます。しかし、この『三匹の侍』にて百姓と流れ者が対峙するのは「野武士」というただの暴力ではなく、「政治」・権力の暴力であります。
 名著『鬼才 五社英雄の生涯』の著者・春日太一氏は、五社作品のアウトローな主人公を「テロリスト的アウトロー」と表現していましたが、今作の士農工商のカーストを外れたその自由なアウトロー主人公の立ち回りの格好良さに痺れる一本です。
茶一郎

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