紅孔雀

御用金の紅孔雀のレビュー・感想・評価

御用金(1969年製作の映画)
3.6
村娘の浅丘ルリ子が故郷に帰ってみると、神隠しにあって全員が消えていた。あとはカラスの大群が乱舞するばかり。一方、佐渡から船で運ばれた金の延べ棒(つまり御用金ですな)は、船の難破とともに何処かに消えていたーーこれって、時代劇には珍しい人間消失ミステリではないですか。さすが、外連(ケレン)味の五社英雄監督。この謎を軸に、東北の小藩の運命と義兄弟(丹波哲郎と仲代達矢)の宿命の決闘が描かれます。
三船敏郎が仲代と(黒澤明を巡って)口論になり、役を降りたことでも有名な作品(なお代役は中村錦之介)。実は雪国のロケがあまりに寒くて三船が嫌になったから、という説もあるんですが、最後の決闘シーンで、丹波と仲代が共に手に暖かい息を吹きかけながら斬り合っているところを見ると、ホントに寒かったんでしょうねぇ。
若い浅丘が恐ろしく可愛く、仲代の妻役の司葉子もお歯黒していても色っぽい。当時の女優さんのこの世ならぬ美しさに驚嘆します。この時代、日本中の美男美女は映画界が独占していたということでしょうか。作品は、少し冗長なところもありますが、俳優達の熱演で最後まで楽しめます。意外とハッピーエンドだったのも高評価。
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