ククレ

サタデー・ナイト・フィーバーのククレのネタバレレビュー・内容・結末

4.2

このレビューはネタバレを含みます

高校生の頃に洋楽にハマり、ディスコミュージックもよく聴いてた。レンタルCDをカセットにダビングしてたなぁ。「ステイン・アライブ」は名曲。ビージーズは今でも様々なところで使われてるよな。
でも、ディスコ世代ではないし、この映画は古臭い感じがして観ていなかった。最近、「実は社会派なストーリー」と聞いて鑑賞。
おお、これはすごい名作ですわ…。もっと若い頃に観ておくべきやった…。

以下はネタバレ…







パリピが踊りまくるだけの脳天気な「青春ダンスムービー」ではない。悩める若者たちの「群像劇」で、貧困問題や人種問題も盛り込まれてるんやね。
主人公トニーはモテモテの「ディスコキング」やけど、父は失業中で、兄は神父をドロップアウト…。しがない時給でも真面目に働くイタリア系の若者。この辺りの設定がとても良くて、トニーに共感できるねん。常に将来に不安を抱いてるんやな。
「コンテストの二人のダンスはイチャイチャしてるだけでおもろないな…前の黒人ペアやプエルトリコペアの方がキレがあったやんけ」と思ってたら…トニーは結果に憤慨して賞金やトロフィをプエルトリコペアに渡す。誠実やね。生き甲斐にしてるダンスを冒涜されたように感じたんやろうな。悲しさも感じられるトラボルタの演技は素晴らしくて、出世作になったのは当然、と感じた。

脇役もみんな思い悩んでる。

ステファニーは上昇志向が強くてホラばかり吹いてる「気取り屋」やん。嘘だらけの悲しい人やで。ダンスも上手いのかようわからへんし、オバサンぽく見えてあまり魅力を感じへんかった。

兄貴はいい人やけど、教会を辞めるなんてなかなかしんどい境遇。辞めた理由もはっきりしないし実は闇が深い。これからどうするんやろ?

やっぱりイタリア系とプエルトリコ系は仲悪いんやな。友人たちはプエルトリコのグループにちゃんと調べもせずに「カチコミ」したんやから、このあと絶対に逆襲されるで…。

友人はカトリックの彼女を妊娠させたことに悩んで自殺してしまう…。それは悲しいことなんやけど、その前にアネットは仲間たちに輪姦されてるんやで。自殺のせいでウヤムヤにされてるのは酷い…。「愛はきらめきの中に」でまったりとエンドロールになるけど、ハッピーエンドではない!

この頃のダンスって、結局「社交ダンス」の域を出ないんやね。コンテスト見ていても、今時のダンスに比べるとモッサリしてて見劣りするわな。ただし、この時代の「流行」としては最先端ですごくカッコよかったのはわかる。トニーが一人で踊るあの有名なシーンは本当にセクシーでフェロモンがヤバい!映像から当時の熱狂的な熱量を感じられるなぁ!
様々な社会的背景も感じられる名作。
ククレ

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