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ボーイ・ミーツ・ガールのなのレビュー・感想・評価

ボーイ・ミーツ・ガール(1983年製作の映画)
3.6
アレックスが確実に生きてる人間だと感じたのは冒頭だけだった
そこからが徐々に違和感と不信感
リアルに生活しているとは思えないような部屋、「シャツを着替えよう」と言って同じシャツに着替えたようにしかみえない異様な瞬間
冷蔵庫を開け放って突然バタンと閉める
意味があるのかないのか分からないけど、彼が飲んでいたのはミルクのみ。

もしかすると彼は死んでいる人間なのかもしれないと、疑いながら進めるけど、要所ごとにそれでは説明がつかない場面がでてきた

彼は自ら世界から切り離されたところに好んでいるようにも映るし、世界も彼を見ないようにしている
その境目を見せられている感覚で、アレックス以外の登場人物もどこか狂気的にみえてくる

ミレーユも初めはアレックスを幽霊かのように扱い、途中、意識が通じたかのように視線が合っている気がしたけど彼女はアレックスを見ていない。
ミレーユはアレックスと似た空気感が確かにあり、ただ、生きている世界が彼よりすごく狭い感覚、より死に近い雰囲気

観終わった後、呆然としたのであらすじと考察サイトを閲覧した

最後の場面は、私の少ない引き出しからでもゴダールのラストの唐突さと重ねたし、
部屋としては不気味な、ガラス張りのミレーユの部屋は『ファイトクラブ』のラストを思い出した

なによりカメラワークが面白くて、感動した
明暗の撮り方の技術ってこんなに再現できるものなんだなと俄かながら感心した
な