plus+松竹
1960年、木下惠介監督作品。
戦国時代、甲斐国の笛吹川にかかる橋の近くに暮らす農民一家の年代記。
長い物語が無駄なく語られる。甲斐を支配する武田氏に翻弄されていく一家。侍の都合によって生死が決まってしまう農民。親の願い虚しく、戦に出て出世しようとする息子たち。そのやるせなさが胸に迫ってくる。
高峰秀子、田村高廣が若年から老人までを演じきる。
モノクロながら部分的に色を施す試み。木下惠介の旺盛な実験精神が発露する。
市川染五郎、中村萬之助時代の松本白鸚・中村吉右衛門兄弟が兄弟役を演じている。
さらにふたりの父、松本幸四郎時代の先代松本白鸚が上杉謙信役で出演している。先代十七代目中村勘三郎が武田信玄を演じている。
木下惠介の秀作のひとつ。