らんらん

笛吹川のらんらんのレビュー・感想・評価

笛吹川(1960年製作の映画)
3.5
戦国時代の甲斐国、笛吹川のほとりに住む貧しい百姓一家の暮らしの傍らにはいつも戦がある
武田信玄誕生から武田氏滅亡までの約60年間を舞台に世代が移っても繰り返される戦とその悲劇の物語

木下惠介で時代劇って珍しいですね、他には四谷怪談なんてのもあるみたい、今度見てみよう
物語の舞台は戦国時代、なんだけどあんまり時代劇って感じはしなかった
メインとなる登場人物は基本百姓たちだし、その人間模様が中心かなと

この映画で一番印象に残るのはやっぱりあの独特の演出!パートカラー?
モノクロ映画なんだけど、ところどころ青や赤や黄、紫といった霧?雲?みたいな着色されたものが出てくる
青は空だったり水、あるいは死体、赤は火の色、紫は雲なんかに使われてる
その意図はよくわからないけど、その実験的な映像、チャレンジが凄いと思う
この映画を思い出す時あの色が一番思い浮かぶと思う

ストーリーは、、、個人的にはあまり好きじゃない
あえて人間の愚かさを描くための展開にしてるんだろうけど、反戦映画っぽさがなんかいや
市川染五郎がお屋形様のため、先祖代々のご恩に報いるためとかしきりに言うんだけどそこも微妙
今までそんなオイシイ思いしてきてないじゃんねw
まるで軍国少年のような妄信さが気持ち悪い、なんでそうなった?みたいな強引さ

出演者について、、、
物語のメインとなる百姓一家は加藤嘉、織田政雄、山岡久乃、田村高廣と続いて
田村高廣の奥さんで高峰秀子、息子に市川染五郎、その他荒木道子、川津祐介といった面々
序盤の加藤嘉や織田政雄のやりとりとか結構好き
あとは田村高廣&高峰秀子の夫婦が良かった!
若い姿からヨボヨボに老けた姿まで演じてるんだけど、特に老け役の表情だったり歩き方、メイクといい2人とも素晴らしかった
荒木道子の執念、キチ○イを演じながらそれが素になっていく様も印象的

その他の出演者も実は豪華、ほとんどチラッとしか出てこないにもかかわらず中村勘三郎や松本幸四郎を始め、岩下志麻、渡辺文男、安部徹、浜田寅彦なんかが登場する

先日なくなった市原悦子もクレジットされてるんだけど発見できず、、、
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