オトマイム

約束の土地のオトマイムのレビュー・感想・評価

約束の土地(1974年製作の映画)
4.0
映画祭のパンフによるとワイダ監督の最高傑作とも言われているらしいがその真偽のほどはともかくとして、政府から潤沢な予算を受けて制作された渾身の力作であることは確か。要所要所でドラマチックにぐいぐい引き込むお手並みは鮮やかで、さすがの安定感。珍しくスペクタクル感もあり、機械に潰されて人間が肉片になるなんて、この監督としてはかなり斬新です。
ポーランド人・ドイツ人・ユダヤ人の友人3人が繊維工場を作ることに奔走する話。やはりワイダはこういう男くさい作品が得意なんだなと思う。

劇場のシークエンスがとにかく素晴らしい!また、火事で人が火だるまになって走るところとラストシークエンスも。熟練の70年代といわれるだけありその完成度には舌を巻く。19世紀末のコスチュームにもうっとり。



*ティーチインでの話*

原作をポーランド語で読んだという関口時正氏によると、映画が原作よりも素晴らしいと感じる点があってそのひとつは、細かな言語の使い分けがなされていること。つまりドイツ訛りのポーランド語、綺麗なポーランド語、ドイツ語、などを世代等により巧みに変えることで時代背景を忠実に演出しているのが素晴らしい、と。また、圧巻のラストシークエンスは原作にない、ワイダ監督のオリジナルである。