うにたべたい

クロノスのうにたべたいのレビュー・感想・評価

クロノス(1992年製作の映画)
4.1
ギレルモ・デル・トロ監督の長編映画デビュー作品。
メキシコのホラー映画。
ただ、先日見たブロブとは比較対象がおかしいのかも知れないですが、ブロブのようなパニックホラーではなく、耽美な雰囲気のあるダークファンタジーとなっています。

古物商を営む初老の男は、ある日、売り物の天使像の中よりスカラベを模した金属機械を見つける。
それを調べていると機械から針が飛び出し、男の手にくい込むように突き刺してしまう。
傷は深くないが、以降、男は、その機械の針に刺されることに快楽を得るようになる。
男の容姿は若々しくなり、日光を厭い、血液を渇望するなど、明言はありませんが吸血鬼がモチーフとなっている感じがします。
もっと言うと、ジョジョ1部を知っている方なら金属機械から伸びる針の構造など、これ石仮面じゃん!ってなると思います。
デル・トロ監督は日本のアニメやマンガが大好きなので、ジョジョにもどこかで影響を受けているのかもと思いました。
なお、本作はコメットさんの75話から着想を得たそうです。
コメットさんは私、ニチアサアニメの方しか観てないので、特撮の方も見ていれば感想が違うのかも知れません。

本作の主人公はジョジョなら即死んじゃうようなおじいちゃん、金属機械(クロノス)を狙う金持ちもおじいちゃんなので、本作は「おじいちゃんvsおじいちゃん」という、珍しい吸血鬼映画です。
床に零れた血液を這い蹲って舐めるシーンなどちょっとドキッとするシーンがあり、初老の素敵な男性が好きな女性には堪らない作品ではないかと思います。
倒錯する女性ファンも出そうですね。
激しいバトルシーンなどもなく、孫娘との穏やかな日々が崩壊してしまった男の変貌を描いた作品となります。

90分があっという間でした。
もう90分あっても良かったかも、クロノス誕生の話が序盤に少し流れるだけだったり、ちょっと説明し切れてない気がしましたね。
ただラストの静謐な雰囲気の中の幕切れは非常に良かったです。