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ホット・ロックのEikeのレビュー・感想・評価

ホット・ロック(1971年製作の映画)
3.2
1972年の作品だからもう半世紀前なのか…。
全く派手な作品ではありませんがクスクスと笑わせてくれながら開放感に満ちた爽快なラストまで大いに楽しませてくれる佳作。
原作はベストセラー作家、ドナルド・E・ウェストレイクの”ドートマンダー・シリーズ”。
監督は職人監督(これも死語ですかね)ピーター・イェーツで脚本は自身ベストセラー作家でもある名手ウィリアム・ゴールドマン。
音楽はなんとクインシー・ジョーンズがご機嫌なナンバーを聞かせてくれます。

原作が「ユーモアミステリ」ということもあって設定も展開もシリアスさよりもユーモアが強調されておりますが節操のない「コメディ」ではありません。
公開時に興業面で厳しい結果となったのはその辺りのアプローチが原因なのかもしれませんね。

完璧な計画で巨大な宝石を博物館からまんまと盗み出すはずが歯車が狂ってあれよあれよという間に石は右から左に。
盗人のプライドにかけてドートマンダー(R・レッドフォード)たちはあたふたとしながらも石を取り戻すべく悪戦苦闘を繰り広げるのですが、ついにはヘリコプターを駆って警察署を襲撃する羽目に・・・。
レッド・フォード氏以外はいたって地味な配役ではありますがG・シーガルやR・リーブマン、ゼロ・モステルなどいづれも曲者&芸達者揃い。

現代の視点でいえば「オーシャンズ」シリーズに似ていなくもないですが、あちらのような華々しさはありません。でも「映画」としての見ごたえはこちらに軍配を上げたい。
ちゃんと登場人物たちのキャラが立っていますし、ユーモアを強調しながらもチャラけたおふざけ路線に逃げることなくちゃんとドラマになっている抑制がおみごとです。
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