みむさん

ザ・ハリケーンのみむさんのレビュー・感想・評価

ザ・ハリケーン(1999年製作の映画)
4.0
とても面白かった、というか見ごたえあった。
黒人差別に基づく冤罪事件「ルービン・カーター事件」を元にした映画(キャラクター等脚色もあるようだ)。
デンゼル・ワシントンはこの役でベルリンで賞取ってる。

こんな人生って…!
良いほうにも悪いほうにも、こんなことって起こるんだな…。

プロボクサーのルービン・カーターを描くスポーツドラマで彼の著書を偶然手にした少年が読書を進める形でカーターの半生を描くのかと予想したが、少年の人生とルービンの人生が思わぬ形で交差し重なっていく。ここまでの話になるとはね…。
あの少年とカナダの家族も実在する人物のようだ。

ボクサーとしてのルービンが描かれるのはほんの少し。
幼少期にも友人を助けたために少年院に入れられ、大人になってまた冤罪で終身刑、しかもどちらも根底に人種差別あり。

白人だらけの陪審員、裁判は明らかに不正なのに、差別と圧力で冤罪を晴らせぬままのルービン、よく耐えたよ……。あまりの不条理に無の境地になってたけども。

支援する人無罪を訴える人次々と脱落していく中、少年一家の献身的なサポートに心開くルービン、その姿が胸打たれる。
人種や国籍や立場は関係ない、ただあるべき正義をルービンにという思いだけで動く。
相当な圧力の中でここまで出来る人もめったにいない。

この善良な人たちとの出会いは中古書店がキッカケ。何がどう転ぶかわからないね、ホントに。
最悪な方に転んで無実で終身刑、良いほうに転んだのは自伝が少年読者の心を動かし双方の人生を変えたこと。少年とルービンの交流が泣ける。

手順を踏んでいかなければならない裁判も時には例外手順も踏んでみる、絶対に無実である信念がなければあそこまでのリスクは犯せない。法廷劇としても面白かった。

ルービン・カーターの時間は却ってこないが晴れ晴れしたエンディングでよかった。