[Focus]のハレルヤのレビュー・感想・評価

盗聴マニアの青年を取材しているTVクルー。その取材の過程で暴力団の拳銃取引の様子を傍受してしまう。スクープを捉えた気になった一行は予想できない事件へとなだれ込んでしまうサスペンス映画。

全編ほぼ取材カメラのみのPOV視点での作品。27年前の日本映画でこういった作品は珍しかったでしょう。なのでドキュメンタリー感覚で味わえるリアルな狂気。目の前の日常とふと覗かせる非日常が入り組む独特の空気。濃厚な73分。

盗聴マニアの青年金村を演じたのは当時23歳の浅野忠信。一見陰キャラ的な金村ですが、あるトラブルをキッカケに狂気に満ちた本性を表す。その後半の演技は迫真で、何をしでかすか分からない姿にゾクゾクしました。

目先のスクープに捕らわれて、思いがけない事態へと突き進んでしまうマスコミの在り方についても一石を投じた内容。取り返しの付かない事になり、慌てふためく一行の姿が本当の出来事のよう。

不快指数は高めですし、カメラのせいで酔いやすいと思うので万人受けはしないと思います。でも興味のある方なら一見の価値は有りです。