[Focus]のMrsフロイのレビュー・感想・評価

POVというのだろうか。
カメラマンの視点と観客のそれが重なり合う撮影方法で撮られた1996年の作品。当時としては斬新な設定だったのではと思われる。

テレビ取材を受ける盗聴マニアの所謂オタク青年を浅野忠信。
愛用の無線機で電話や警察無線までの盗み聞きを趣味としている。

前半はこのオタク青年を視聴者に強くアピールする為に、より変態的な人物像に仕立てようとする取材メデイア側の意図を追う。後半はその歪んだ意図を覆す展開と終息。

2020年の今観るとメデイアもオタクもとっくに映画を超えてしまったという、なんとも言えない虚無感を感じる。
制作が西友で、時代の先端を切り拓いていた堤清二率いるセゾングループの映画事業崩壊寸前の作品だった事が分かる。