ユウ

イエスマン “YES”は人生のパスワードのユウのレビュー・感想・評価

4.3
ジム・キャリー演じる主人公のカールは、離婚を経験し、昇進話が白紙になり、と何かと悪いことばかり。
そんな彼は何を言われても一言目には「No」、よくて「検討する」という、根暗な性格。
彼は友人のニックから、イエスマンになることで人生を変えたと、怪しげなセミナーを勧められる。
(ちなみに英語でもイエスマンはYes Manである)

いつも通りNoで返したカールだが、その言葉を待っていたとばかりにニックは捲し立て、半ば無理矢理カールをそのセミナーに連れ込む。
そのセミナーは始めこそ怪しげな側面が強かったものの、実態としては真っ当な啓発セミナーであり、Noを封じて代わりにYesを返す事で人生は好転すると強く説く。
そして主催者は、カールにYesの誓いという宣誓を行わせた。これでカールも幸せになると満足げなニック。

カールはバカバカしいと思いながらもニックの手前、嫌々ながらYesを言い続けて、ホームレスに持ち金を取られ車はガス欠になり、散々な目に遭う。
だが、そのおかげで魅力的な女性アリソンと出会い懇意になることも出来た。

彼女はカールとは正反対のスーパーアグレッシブな性格で、彼女の問いかけにYesを返すたびに、彼女の価値観に触れ、刺激と新しい経験を積むカール。
対してアリソンも、自分の提案をいつも二つ返事で受け入れるカールに自分にはない魅力を感じていた。

だが、全ての要求にYesを返すうちに、カールは得るものより失うものの方が大きくなっていく。
しかし「Yesの誓い」がある以上、Noを言えば必ず何か災難が降りかかる。
そのため、セミナーの主催者に自分が立てたYesの誓いを取り消すように迫るが、彼からは思いがけない言葉をかえされる……



観終えた後に前向きになれる映画として名高い本作。
気分が落ち込んだ時ほど、沁みる映画だ。

特に飛び降り自殺を試みる人物を前に、「誰か助けてあげて」との言葉にYesを返し、以前営業にYesで返して練習していたギターで、The 3rd Eye Blindの名曲Jumperを弾き語り、見守る観衆とその自殺志望者本人まで一緒になって歌い、最終的には救出してしまうシーンは、この映画の最も象徴的なシーンの一つであり、感動を禁じ得ない。

ジム・キャリー主演映画らしく、コメディ的な要素は多分にあるが、あくまで作品の雰囲気作り程度に留められている。
ユウ

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