再見。人も物も投げられては落ち、投げられては落ちるなか、唯一落ちずに浮き続ける赤い風船。劇中で最も不安定な体勢の三人肩車が崩れずにチェリー・インが風船の紐を掴んだ瞬間に泣く。手離された風船は香港の夜空に消えていく。たぶんまたパリに帰ったんじゃない?で、ホウ・シャオシェンがまた赤い風船の映画を撮る。
道場の蛍光灯の寿命がきてて切れかけなのがいい。パチパチと灯りが付いたり消えたりしながら遂に真っ暗になった道場に目の見えないルイス・クーが佇む。目に見えない道場と一体化した柔道家にとって街のあらゆる場所が道場になる。