BSで鑑賞。リオデジャネイロの駅で手紙の代筆を営むドーラと母親を失った少年ジョズエ。彼の父親に会いに向かう2人の旅路を描く。
筋書きは王道の旅物語だが、識字率の低さ、当たり前のように銃殺される万引き犯、臓器密売に繋がる養子縁組と随所にブラジル社会の暗部が差し挟まれる。日本はここまで日常的に犯罪が横行していない分まだ良い国かもしれないと思った。
ドーラは代筆、母親代わり、終盤の手紙の代読、と常に代わりを担う立ち位置にいて、これが他者性を際立たせる。幼少期の忘れてしまうであろう他人との特別な時間。が、記憶は無くなっても
2人を繋ぐ物の存在が豊かな時間があったことを確かに証明している。というのにグッときたな。
あと撮影が素晴らしい。礼拝の場面や、2人で荒野を見下ろす場面などド肝抜かれるショットが沢山あった。シネスコの使い方がうまい…