ほーりー

第七天国のほーりーのレビュー・感想・評価

第七天国(1927年製作の映画)
3.8
【上を向いて歩きましょう 本作の主人公たちのように】

なお淀川長治先生が昔、友の会で本作をべた褒めした時、聴講者の中に若き永六輔がいたという。淀川先生は永さんがこれにインスパイアされて、あの歌を作ったのではなかろうかと書いてあったけど……。

ジャネット・ゲイナー&チャールズ・ファレル主演の恋愛映画の古典『第七天国』。古いでっせ、サイレント映画。

姉(義姉?)からのDVを受け続け人生を絶望していたディアンヌ(演:ジャネット・ゲイナー。下水掃除夫でありながらも決して希望を失わないチコ(演:チャールズ・ファレル)と出会ったことにより運命の歯車が大きく動く。

やっと幸せを掴んだディアンヌだったが、第一次世界対戦が勃発。

チコも徴兵されてしまい、離ればなれになるが、二人は心の中ではずっと一緒であることを確かめあうため、毎日午前11時にある合言葉を呟くことにする。

その合言葉とは……。

タイトルの『第七天国』はディアンヌとチコが住むアパートの部屋が七階で、彼らがそこを天国と呼ぶことに由来している。

なおキリスト教だかユダヤ教では天国には七つの階層があるとされ、その最上天が第七天国でおそらくそこにも意味をかけているのだろう。

古典中の古典だけあってストーリーは恋愛映画の王道を突き進むような感じ。だけどラストの展開は全く予想できなかった。というかいくらなんでも反則でないかい?

本作の魅力として主演のゲイナーとファレルの存在が挙げられる。華奢で小柄でお人形のようなゲイナーも、若く精悍なイケメンのファレルも、まるでお伽噺か漫画の中からそのまま抜け出てきたようなビジュアルで目を奪われた。

ちなみにゲイナーとファレルは本作を皮切りになんと計12本も共演している。あのスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーンが9本だから、如何に凄い数なのかわかる。

■映画 DATA==========================
監督:フランク・ボーゼイギ
脚本:ベンジャミン・グレイザー
製作:ウィリアム・フォックス
撮影:アーネスト・パーマー/ジョセフ・A・ヴァレンタイン
公開:1927年5月6日(米)/1927年11月(日)
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