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テルマエ・ロマエのMykeのネタバレレビュー・内容・結末

テルマエ・ロマエ(2012年製作の映画)
3.2

このレビューはネタバレを含みます

温泉大国、日本。

馴染みある、あたたかい日本のお風呂や温泉が
とても恋しくなる映画だ。

ローマ時代の公衆浴場のお湯の底から、
現代の日本の浴場や、家庭のお風呂へタイムスリップしたり、
阿部寛さん演じる主人公・ルシウスが涙を流すと、
元のローマの世界へ戻っていくという、
非現実的な斬新なストーリーで、

B級映画的なギャグを盛り込んでいる反面、
作り込まれた舞台のセットや、
ローマ時代を再現した奥行きのある壮大なCG、
ローマ人を演じるエキストラの方々が
とても素晴らしかった。

アメリカの留学生の私の友人は、
学生寮での皆とのお風呂に初めは戸惑い、
なかなか入れない日々が続いたそう。
温泉しかり、家族でも恋人でもない人と裸になって
一緒にお風呂へ入る文化が全くないそうだ。

でも、ある日温泉で、
湯船の中で身も心もくつろいだまま
沢山お話しをして、お肌も気持ちもつるつるに
なって、上がった後は可愛い浴衣を着て

ルシウス同様、フルーツ牛乳を飲んだり、
アイスを食べたりお酒を飲んだりするのが
初めての経験でとても楽しかったと言っており、
一緒に入る温泉やお風呂に対して抵抗がなくなったという。

ローマ皇帝のハドリアヌスが
「安らげる場を与えてこそ、人々の幸福につながる」
というセリフがあるが、まさにその通りだなと思った。
これからも国境や文化を越えた裸の付き合いも
私は大切にしていきたい。

そのほかに、映画では
トイレの自動ドア開閉や、ウォシュレット機能、
等、現代でも世界一と称賛される日本のトイレ。

改めてそれらは、
「平たい顔族」である、我々日本人が世界へ誇れる、
素晴らしい文化・技術だと思った。


◯印象に残ったお芝居
・ルシウス(阿部寛さん)の声。話し方。
生真面目で真っ直ぐな性格は声にも現れると思った。

・ルシウスが家庭のお風呂へタイムスリップし、
シャワーヘッドを掴むシーン。
物珍しそうに掴むその掴み方が、本当に初めて触れている様だった。

・ケイオニウスのために、浴場を作れないと
ハドリアヌスへ直々に断りに行く前のシーン。
真実(上戸彩さん)はそれを止めるときに、
「納得できない仕事でも、私の国では皆我慢してやっている。」というセリフ。
漫画家を目指し、本当はしたくないバイトを
生きるためにする真実の気持ちが、
私には痛いほどわかる。
でもルシウスは、
「自分の意に反してまで風呂を造れない。」
「己を殺してまで生きたくない。」
という強さがあった。
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