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テルマエ・ロマエのhasseのレビュー・感想・評価

テルマエ・ロマエ(2012年製作の映画)
3.1
演出4
演技3
脚本2
撮影3
音楽4
照明4
インプレッション2

前半30~40分、ルシウスがタイムトラベルした先の現代日本で吸収した、あらゆる「発明品」のエッセンスを、古代ローマに帰って現有技術で再現するくだりは、ユニークで面白い。シャンプーハットやフルーツ牛乳、泡風呂にアロマ。それらのアイテムを古代ローマで行うには奴隷のマンパワーのもとに成立していること、また、ルシウスは現代日本を蛮族と「勘違い」し続けていること等、やや差別的な描写もあるにはあるのだが、そこはあえて過度にタブー視せず、一連の流れの中で笑いに変えているあたりも上手いと思う。

ただ、上戸彩、北村一輝らのキーパーソンが登場し、ストーリーにロマンス、対立、成長といった要素が加わる後半の展開は新鮮味に欠ける。「主人公がヒロインとの交流を通して、何かを成し遂げる。そして、悪役の排除に成功する」というテンプレ型をなぞるだけの印象が、前半が良いだけに勿体ないと感じた。

また、中盤で崩壊するルシウスの家族生活にもケリがついていないまま終了したように思う。
妻との生活より仕事、己の理想、誇りを優先した結果、妻を親友に寝取られたルシウス。戦場用のテルマエを完成させたことで得た「自分を犠牲にしてまでも他者の利益、共同の目的を達成する価値観」を、家族生活にも応用し、再起を図るという展開があってもよかったように思う。
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