シンタロー

ハイウェイのシンタローのレビュー・感想・評価

ハイウェイ(1964年製作の映画)
3.4
ロバート・マリガン監督×リー・レミック&スティーヴ・マックィーン主演。
酔って人を刺し、服役していた歌手のヘンリー。妻ジョージェットと娘マーガレット・ローズは、彼に会うためにバスでタイラーからコロンバスへやってきた。仮出所後、住込みで働きながら、バンド活動を始めていたヘンリーは、突然の再会に動揺するが、幼馴染で保安官補佐スリムの助けもあり、親子3人で家を借り、新しい生活を始める。音楽で成功したいヘンリーの夢を支えるために、ジョージェットもドライブインで働き始める。しかし、孤児だったヘンリーには、後見人ミス・ケイトから虐待されていた過去があり、今も尚支配下に置かれていた…。
スティーヴ・マックィーンがトップスターに躍り出る前夜で、彼の作品とは思えない程、陰鬱で救いのない内容です。気に食わないことや、思い通りにならなくなると、すぐにブチ切れてしまい、愛する家族や将来のことも見えなくなる様は、愚かとしか言いようがありません。彼が何故このような人格になってしまったのかというバックボーンが、本作の悲しきテーマだと思います。唯一の救いはジョージェットという女性の、こんな夫にも献身的に尽くし、責めたり否定することはせず、娘には限りない愛情を注ぐ姿。演じるリー・レミックが天使のような美しさで、娘役もファニーフェイスな愛嬌があるので、ヘンリー少しは堪えろよ!と心から思ってしまう。非常に残念無念。
配列ではリー・レミックが上。「或る殺人」「酒とバラの日々」で、美貌だけでなく演技面でも一定の評価を得ていたとはいえ、プライドの塊のようなマックィーンがよく認めたものです。本作はモノクロなのでわかりにくいのですが、レミックのブルーアイズは吸い込まれる程で、ちょっと怖いくらいです。自分はこの頃の女優ではお気に入りでした。スティーヴ・マックィーンについては、私はポール・ニューマン派だったので何とも。「砲艦サンパブロ」「ブリット」あたりで頂点を極めた感でしたが、当時既に30後半と遅咲きな方。タイプキャスト気味だったので、もっといろんな役が見たかったです。お二人共病で早逝されますが、現代なら助かっただろうに、と残念に思います。
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