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ソウ3のnetfilmsのレビュー・感想・評価

ソウ3(2006年製作の映画)
3.3
 ジグソウではない何者かによる「ゲーム・オーバー」の宣告、靴で銃を拾うエリック・マシューズ(ドニー・ウォルバーグ)だが弾は全て抜き取られている。仕方なくエリックは自らの右足を犠牲に監禁場所からの脱出を図っていた。トロイの処刑現場、肉をえぐるような貫通する鎖、陰惨な殺害現場に駆け付けたアリソン・ケリー捜査官(ディナ・メイヤー)はその残虐な殺し方で、ジグソウではない誰かの犯行を疑う。その夜誰かに拉致され、死の恐怖を感じたケリー捜査官の姿。不倫に溺れる女性外科医リン・デンロン(バハー・スーメク)は帰宅途中に誘拐され、医療機器が置かれた部屋に監禁される。そこには治癒不可能の脳腫瘍に冒されたジグソウがベッドに寝かされていた。そこに現れた1人の人間はかつて“死のゲーム”から生還した被害者であったが、以来ジグソウに付き従い、彼の後継者と成る事を切望していた。後継者はリンに“ゲーム”のルールを説明する。この建物内に監禁されているある男に仕掛けた“ゲーム”が終了するまで、ジグソウを延命させること。それが出来なければリンは殺されるが達成できれば無事に解放すると約束する。ジグソウを診断するリンだったが病状は深刻で、このままではいつ死んでもおかしくない状態だった。一方その頃、肉工場の地下室で一人の男が目を覚ます。ひき逃げで最愛の息子を失った父親ジェフ・レインハート(アンガス・マクファーデン)は鎖につながれた3人の男女を目撃する。

 記録的大ヒットを続ける『SAW』シリーズ第三弾。前2作で登場人物たちを地獄のゲームに陥れたジグソウは絶命の危機に晒されている。深刻な脳腫瘍を抱えるジグソウは既に処刑を終えたローレンス・ゴードン(ケイリー・エルウィス)に続き、敏腕女医を延命の後継に自分勝手に指名する。前作までの抑制された処刑描写から打って変わり、残酷さを極めた苛烈な処刑描写は評価の分かれるところだろう。やがてその残虐非道さこそがジグソウとその後継者との差異を明らかにするのだが、それにしても今作の処刑シーンには思わず目を背けたくなるような残酷なシーンがとにかく多い。中盤のジグソウの後頭葉の手術シーンは思わず目を背けたくなるような鈍い痛みに溢れる。中盤突如ゲームの主役に躍り出るジェフ・レインハートこそが今作の悲劇の人に他ならない。8歳の息子を事故で亡くした時から、幸せだった家族には一筋の亀裂が走る。ジグソウはその脆弱さを餌にゲームを仕掛けるのだが、当の後継者となるべき人物の驚くべき秘密が後半、開示され、物語は起点となったアダム・フォークナー(リー・ワネル)へ戻る。シリーズ最強レベルの陰惨さを醸し出した物語は二転三転する妙味に欠け、ただただ人を不快にさせるような痛みの描写に走る。シリーズ史上最も陰惨で目を背けたくなる3作目である。
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