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森の生活のMyonのレビュー・感想・評価

森の生活(2006年製作の映画)
3.1
リトアニアが提案する天高くそびえるツリーハウスでの生活。仕事に疲れた建築家が森で隠居生活を送ろうとするが、そこに騒がしい若者たちが現れて…。

原題はYou Am I. 別荘地から割とすぐにあんなスケールの大自然があるのであれば、そりゃ自分と他者との境界も最早どうでも良くなりますね。他者との関わりを厭う主人公はそんな境地を目指したのかもしれません。彼の作ったツリーハウスでの生活は、サバイバルな感じではなく程よく人工物に囲まれていて洗練されています。衛生面も可能な限り気を配られていて、素敵な暮らしぶりだなと感じてしまうほど。

主人公と出会う若きヒロインは友人は多いのに、地中の小汚いシェルターもどきを気にいっている変わり者。根底通じる部分があるのか二人は惹かれあいますが、唯一ドラマ的ともいえる彼らの恋愛描写は控えめ。

あれこれ解釈するほどストーリーに厚みのある作品ではないかもしれないけど、その押し付けがましさのない所が良いところ。雰囲気は割とヒッピーというかなんでもありではあるのですが、そういう生き方を推奨してるわけでもなし。バルト海沿岸で、旧ソ連(主人公の帽子!)で、自殺率が高い…等の印象しかなかった国ですが、羨望せざるを得ない自然美と季節の色彩に圧倒され、行きたい所のひとつになりました。死は安らぎ…思わせぶりな台詞や演出のなかに「リトアニアらしさ」を感じられる気がしてなかなか好きな作品です。
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