長年つれ添った妻と若い愛人の間をフラフラする話。これじゃアカンと車を飛ばすが…。
悲劇的人生を生きた大スター、ロミー・シュナイダーは自身の出演作では本作がいちばん好きだったと聞いたような、ちょっとググっても情報が出てこない。
公開当時はカンヌ映画祭の最高賞・パルムドールに推されるなど高く評価され、アメリカではリチャード・ギアとシャロン・ストーンの共演でリメイクされている。
一言でいって「そこそこ金持ちの贅沢病」なんだろうけど、とはいえ当人には大きな問題には違いない。仕事も家庭もやるべきことはやった、それから何十年も経って、全部に飽きてしまったらどうすればいい、という悩み。
「映画は90分くらいがベストだよね」的な、イカしたシネフィルな物言いにあこがれ88分の本作をチョイスしたけど金もなければ若い愛人が近づいてくれるアレも一切ない人間なので(経験値マウントはお辞めください)、まあまあ退屈にみてしまった。
車が事故る場面は強烈で、CGもない時代に撮影は大変だったろうなと思う。色恋沙汰でグダる主人公の、その反動で出てくる死への暗い情熱みたいなのがないまぜにされてて圧倒的だ。しかし映画の尺が足りなかったのか、何回もフラッシュバックされるのは困った。事故現場にあつまる野次馬たちの描写などもやたらに長い。