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ゲド戦記のmayumayuのレビュー・感想・評価

ゲド戦記(2006年製作の映画)
3.9
闇と共にあるべきものそれは光。その光が、身体を求めて彷徨う影になってしまった。

ゲド戦記、幼い頃に1-2冊読んだ朧げな記憶のみで封切りの時は鑑賞。
アニメ映画だけどずしんと来た記憶。テルーの唄がとても気に入った。
しかし、低評価の嵐にびっくり。確かに、主人公がまず暗いし、アマデウスもびっくりのはじまり方。ヒロインに大嫌いって言われるし、最後は怖いし。竜がどんな生き物で、人間とどういう関係で、魔法がこの世界でどういうものなのかとか、わからないからかなぁ。
はじめしか読んでないけれど、原作は光と闇の話だった。闇は自分の中の闇なのだ。ゲドもまだ少年で悩んでいた。テナーにも墓所での閉じた生活という過去がある。名作の香りだったけれど、当時の私にはちょっと難解だった事も覚えている。哲学的というか‥

地上録画で再度鑑賞。
これ、今公開したら受け入れられるのではないだろうか?
人間は全き光の生き物ではない。闇を併せ持つ。限りある命、どうせ終わってしまう命をなぜ大切にしなければいけないのかわからなくなってしまう若者。否、限りあるからこそ価値があるのだと。均衡が破れ災厄感染に見舞われる物語世界との現代世界との類似。永遠の命を求めるのは恐れから?恐れや不安に飲み込まれ他人がわからなくなる。他人を踏み潰してしまう。
宮崎吾郎さんの作品は、あと「山賊の娘ローニャ」をみているが、あれも可愛らしいキャラデザインと裏腹に、山賊という違法な行為で成り立つ生活への矛盾にヒロインは苦しむ。
宮崎吾郎さんの作風なのかもしれない、と思ったりした。
時間がある時に原作を読み返してみたい。

追伸 私は岡田准一さんの声、好きだなぁ
さらに追伸 原作を3巻読んだ今。原作ファンの方は、ル・グウィンの物語とはまた別の作品としてみた方が良いかもしれないと思った。後にコメント欄にネタバレで追記予定。
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