ボンドレイク

ワイルド・ブリットのボンドレイクのレビュー・感想・評価

ワイルド・ブリット(1990年製作の映画)
5.0
 マイ ベストムービー第8位
 ★5.0 +アルファ

 何度目かの再鑑賞!、、
 (大好きな映画なので、少しばかり長文です。失礼。)


 とりあえず、まずは

 ●今まで観た中でのジョン・ウー監督作ランキング (この下に感想あります)

1位 男たちの挽歌Ⅱ
2位 ワイルド・ブリット
3位 ハードボイルド 新・男たちの挽歌
4位 狼/男たちの挽歌・最終章
5位 男たちの挽歌
6位 狼たちの絆
7位 フェイス/オフ
8位 ハードターゲット
9位 ミッションインポッシブル2
10位 剣聖たちの挽歌
11位 レッドクリフ1、2
12位 ブラックジャック
13位 カラテ愚連隊
14位 Hostage
15位 マンハント
16位 ソルジャードッグス
17位 ワイルドヒーローズ 暗黒街の狼たち
18位 ブロークンアロー
19位 秘龍拳/少林門

 ●感想

 これはマジで衝撃的な映画だと思う。ドラマが、アクションとともに ここまでの重たいパワーを放ってる映画は中々ない気がする。
 ディア・ハンターまんまとは言うけど、なんというか 中身が違うんよ!笑
 
 戦争で酷いことが溢れかえってるベトナムが舞台。そこに加えて、理不尽で哀しい友情物語。 勢い溢れる演出と圧倒的なアクションで駆け抜ける131分。

 重たい戦争モノとジョン・ウー流ドラマの融合とも言えるかな。

 序盤の軽やかな青春シーンが嘘のように、どんどん地獄へとグラデーションしていく。
 そして最終的にたどり着く暴力の連鎖の果てが、もはや虚無、、(泣)

 青春シーンがあるとは言っても、60年代の香港という舞台背景や 90年当時の時代背景が反映されたデモのシーンが伏線のように、あるいはジョン・ウーなりのメッセージのように差し込まれている。
 「どこも同じ。この先どうなるかも分からない。」そんなセリフが印象的だった、、

 もしかしたら"バイオレンスの詩人"と言われている(らしい、、?)ジョン・ウー映画の中でも最も、暴力というものに面と向かって、というかド直球に表現した映画と言えるかもっ。

 確かに、"ジョン・ウーらしいアクション"を求めてたら、今作の前半のパーソナルなドラマ部分は要らないかも、重たすぎるシナリオも要らないかもしれん、、
 だけど絶対にそんなことはない。これってジョン・ウーの映画には常にあったテーマだと思うんよな。
 「挽歌」シリーズ「狼」、「ハードボイルド」、、
 むごたらしい暴力の悲劇、純粋な友情や愛情が壊される悲劇。

 そこを一番に強調したとでもいえる本作は、きっとジョン・ウー監督が一番にやりたかった内容だったんじゃないかって感じる。

 観れば観るほど 今作の重々しさに気付いていく。
 
 とはいっても!やっぱりジョン・ウー映画だから、漫画チックでカッコイイ演出だとか満載で楽しい部分もあるんよな!!笑笑

 特にキャラクターで言えば、サイモン・ヤム演じるフランス人設定の殺し屋は「狼」でのチョウ・ユンファを彷彿とさせていて、メッチャ魅力的っ。
 とはいっても、「狼」に比べると もうちょっと人間らしい泥臭さが垣間見えるキャラクターだったかな。
 
 「挽歌」シリーズや「狼」、「ハードボイルド」では どちらかと言うと渋くて胸熱な男たちのドラマだったけど、
 今作は 若者たちの がむしゃらなドラマといった感じ。

 ピュアな若者が主人公だからこそ、まさかまさかのベトナム戦争に巻き込まれていく様が痛ましい。

 そんな物語だから、ウォン・カーウァイ映画以前のトニー・レオンや、人気歌手のジャッキー・チュンが 適役すぎる。
 元々は挽歌シリーズもので、チョウ・ユンファの配役だったかもしれなかったけれど、この形が正解な気するっっ。

 顔の初々しさとは裏腹に、心を激しく揺さぶってくる怪演が凄すぎる。

 レイ・チーホンは相変わらず イヤな役柄よね!!笑笑 似合いすぎてる笑

 重たい戦争モノとは書いたけど、やっぱり今作以上に悲惨な内容を描いた映画はいっぱいあるわけで。
 本作はジョン・ウー節満載の演出で若干 漫画チック、映画らしくデフォルメされた部分は多いとは思う。
 けれど、それにしては残酷な部分もやっぱり多いため、どうしても今現在でも世界のどこかで進行している戦争について考えてしまう。
 そして友や家族が愛おしくなると思う。

 きっとそうあるべき映画なんだと思う。
 現実らしさと映画らしさの はざまで歪な形で存在している映画。

 確かに荒削りなとこもある。(そこは、お上の人に映画を"カット"するよう命じられてしまったためジョン・ウーもきっと やむなしだったと思う。元々は3時間越えだったらしい。)
 荒削りだけども、それゆえのパワーはやっぱり魅力にすら感じる。

 それに、もし欠点に思うことが色々あるにしろ、人の心を持つ人ならば今作を観たら必ず心に何かずっしりと来るものがあることには間違いないっっ。

 やっぱりどう考えても今作はジョン・ウーの最高傑作じゃないかなっ。
 とにかく自分はオールタイムベスト3位、これです。









 下のは、3年前に初めて観た時の初々しい感想。






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 〈頭でなく、ハートを...〉(泣)

 情と血と涙と弾丸 ばかりが荒れ狂う カオスな 友情アクション反戦PTSD大爆発ムービー!!

 いやぁぁ、とんでもないモンを観てしまった...

 やはり まだまだ、とんでもない映画ってこの世にたくさん 存在するもんです
ね。(私が浅いだけですが)
 ファントムオブパラダイスを押しのけて、見事に私のオールタイムベスト一位に輝いてしまいましたぜ。
 どんどん、オールタイムベストが更新されていっている気がするわ。

 ジョン・ウー様! なんてことをしてくれたんですか!! これ以上私に 熱くなってほしいんですかぁぁっ!!

 こりゃ最高じゃないですかぁぁ!!

 英題、Bullet n the Head の意味を具現化した映像を自らの目でしかとみたときの 目頭の 温度変化の様よぉ!!!

 涙なしでは観きれないィィィィ!!

 濃密すぎる[ストーリー]の 詳細は単純だったり、少々荒削りだったりするが それ故に生まれた ジョン・ウー・マジックを見逃してはならない!!

 マンガのような[演出]の詳細も少々 強引でリアリティーさに欠けるが それ故に生まれたジョン・ウー・マジックを見逃してはならない!!

 ドラマティックでサスペンスフルな[音楽]も それらを突き抜け ベタ まで行っているように聴こえるが それ故に生まれたジョン・ウー・マジックを見逃してはならない!!

 怪演とまで言える俳優陣の[演技]も むしろ空振っているのかもしれないが それ故に生まれたジョン・ウー・マジックを見逃してはならない!!

 もはや別次元のなかを行く[アクション]も リアリティーに欠けるのかもしれないが それ故に生まれたジョン・ウー・マジックを見逃してはならない!!

 ジョン・ウー・マジックとは?

 それは熱き弾丸で心臓を動かす
“化 学 反 応” に他ならない。

 その反応によるお熱き 作用は... 皆様 ぜひ ご自分で体感なさってください。
ボンドレイク

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