垂直落下式サミング

戦う幌馬車の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

戦う幌馬車(1967年製作の映画)
4.1
デュークとダグラスのアイドル映画。
ラクエル・ウェルチ主演のセクシー西部劇『女ガンマン殺しのメロディ』の監督だけあってストーリーはユルいが、見せるところは見せる娯楽色の強い西部劇となっている。
アクション撮影はジョン・フォードの『駅馬車』を踏襲していて、雄大な自然をバックにしたロケーションも素晴らしく、広大な平野を戦車のように武装した幌馬車が走る走る!ガンマンたちが馬を駆り、丸太を使った奇策が炸裂する!危険な撮影にも果敢に挑む主演二人の身体能力の高さが見物だ。
主演はジョン・ウェインだが、どちらかと言えば若きカーク・ダグラスの魅力が光っている。デュークは勿論その貫禄で他を圧倒するが、スマートでニヒルなダグラスがカッコイイ。馬に飛び乗るその乗り方がもう格好くて、違う角度でみても格好いいし、さらにその飛び乗り方にも多彩なバリエーションがある。原西の持ちギャグのように、ダグラスは1兆個の飛び乗りを持っているのではないかとさえ思えるほどに洗練された飛び乗りだ。
去年観た『トランボ ハリウッドに最も嫌われた男』ではウェインが主人公たちの敵対者として、ダグラスは理解者として登場したので、業界裏事情の暴露本を読んだ後のように複雑な気分になってしまったけど、ジョン・ウェイン主演のウェスタンには揺るぎない楽しさが詰まっている。