Nao

鉄塔武蔵野線のNaoのレビュー・感想・評価

鉄塔武蔵野線(1997年製作の映画)
4.8
夏休み後半、見晴は両親の離婚により新学期から長崎に引っ越すことになるが、友達は旅行や田舎に行ってしまい、見晴は一人で遊んでいた。
見晴は小さい頃千葉に住んでいて、父から鉄塔の下にはパワーがあると知る。
見晴は鉄塔の下で「武蔵野線71」という看板を見つける。
電線を追いかけ隣の鉄塔まで走ると、そこには「武蔵野線70」の看板があり、更にフェンスを乗り越えると鉄塔は「69」。
見晴は、これらの鉄塔を辿っていけば「1号鉄塔」にたどり着くことを発見する。
見晴は、2つ年下の暁を誘い、2人は「1号鉄塔」を目指す。


色んな意味で衝撃を受けた。
自分の小学生時代の姿を投影しているようだった。
見晴程遠くには行ったことはないけれど、あそこには何があるんだろうとか、どうなってるんだろうという当時の気持ちは全く一緒だった。
自転車でとにかく色んなところに行った記憶が鮮明に蘇った。
ずっと忘れたくない気持ちをそのまま映像に残してくれたようだった。
大人への一歩はこんなことがきっかけで始まるんだろう。
鉄塔の先がどうなってるかただ知りたいだけなのに。
親を心配させてまでしてとにかく正体を探りたい。
それ以上でもそれ以下でもない。
それを確かめたら終わってしまう旅なのに。
ただそれだけで満たされる心。
この頃にしか絶対に感じることが出来ないのだろう。
大人になってからは感じることが出来ないであろうと思うからこんな冒険が美化される。
でもそれが良いし、それが大切なんだ。
最近の伊藤淳史しか知らないから、子役時代の彼(小6くらい)を見ると本当に時の流れの残酷さや切なさ、寂しさを感じられる。
もう子供じゃないんだ、もう戻れないんだ、もうあんなにも燃えたぎる感情は湧かないだろうと無意識に悟る。
永遠に心に留めて置きたい作品になった。
Nao

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