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新東京行進曲のsayuriasamaのレビュー・感想・評価

新東京行進曲(1953年製作の映画)
3.7
戦争を挟んだ「東京」の時代、市民の生き方。

川島監督の群像劇にしてはアクが少なめであるものの、さっぱり楽しめる佳作。
泰明小学校の仲良し同級生が伏線回収しつつどうやってラストー堂に会すのかと思っていたらそうきたかと。(ここで歌うのが新東京行進曲)

226事件の日にクラス会をして流行歌(東京行進曲)をみんなで歌い、戦争をくぐり抜け、再び酒を酌み交わす友として集まり、それぞれの未来に向かう夢がつまったストーリー。それでも高橋貞二演じる新聞記者・真砂のラストがほろ苦いのは余韻があった。

都電の運転手遠藤(大坂志郎)とミス職場の昭子(北原三枝)、そして真砂との縁談を目論む昭子の父(日守新一)のニアミスが面白く、逆に都庁建設局に勤務する美代子(淡路恵子)と真砂、そして美代子の父(須賀不二男)とのニアミスは切ない。チャンピオンベルトに挑むボクサーの北野(沼尾釣)とスパーリング中の事故で距離を取るようになってしまった霧山(三橋達也)の再会。人の数だけドラマがある。を地で行くオムニバスドラマ。

昔の東京風景も懐かしく面白く、本作の真の主役は東京なのかもしれません。
そして、いつも聞くたびすぐ忘れてしまうシャリアピンステーキの由来が完全にわかりました。
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