Midnightcowboy

あらくれのMidnightcowboyのレビュー・感想・評価

あらくれ(1957年製作の映画)
4.1
まず高峰秀子の体当たりの演技が圧巻。まさに「あらくれ」のお島を演じ切る。
しかし見事なまでに男運がないお島、、そんなお島のパートナーたちを演じるのが、成瀬作品の常連である上原謙・加東大介に加え森雅之。名優達が三人三様のダメ男っぷりを見せてくれる。なぜか三人が他の成瀬作品でも演じていた様な役どころに似通ってる気がした。

お島は終始良い様にこき使われ利用されるので、全体的に救いようがない物語。しかし彼女はくよくよと悩まず一つ(人)のこと(男)に固執せず切り替えが早いからか、決して暗くはならずかえって清々しい感じさえしてくるから不思議だ。

十五作ほど成瀬の映画を観てきたが、題名からして他の作品とはトーンが違う一作。それは確かなのだが、そこに描かれる女心、漂う哀愁そしてカメラワークは明らかに成瀬作品のそれであり、十分に堪能できる名作であった。
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