このレビューはネタバレを含みます
スコセッシの初期作品。
夫を亡くしたシングルマザーが11歳の息子を連れて新しい生活を求めて奮闘するのだけど、歌手の夢を諦められない、しかも恋愛体質の母親なので、見ていて非常に危なっかしい。
設定自体は「フロリダプロジェクト」や「誰も知らない」に近く、一歩間違えると結構悲惨な話になりそうな所を、アメリカ西部のカラッとした気候のせいか妙に明るいノリで押し切られてしまう。
最終的にアリスは牧場主のおっさんと一緒になることを選択するのだけど、一見良い人そうに見えるこのおっさん、一度嫁に逃げられているわ、子供にキレて手を上げるわで、どうにも不穏な未来しか見えてこない。そのあたりのモヤっとした不穏さも含めてアメリカンニューシネマ的というか、スコセッシ的なんだけど、ラストカットのMontereyの看板が妙に爽やかな印象を残すのであった。
ちなみに前半に登場する超若いハーヴェイ・カルテルが完璧にDV男を演じていて、笑ってしまった。もうこの時点でキャラ完成しとるやん。
さらに驚愕したのはジョディ・フォスターで、ずっと少年だと思って見てたら実は少女だったという。立ち居振る舞い含め、この頃からすでに只者ではないオーラが。
そして音楽使いも、間違い無くスコセッシ。