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アリスの恋の346のレビュー・感想・評価

アリスの恋(1974年製作の映画)
4.2
マーティン・スコセッシ監督作品でこれは!と思ったものがない昔から。
なんだか個人的に、スコセッシは映像作家という色合いが強くて、タクシードライバーは好きだけど、意外と職業監督としてもこなせるあたりがなんかつまんなくて。
良く言うと勢いのある、悪く言うと大味な映画を作る人ってイメージでした。

だけど、これは良かった。
面白い面白くないじゃなく。愛したくなる映画でした。スコセッシの映画では個人的に1番。

荒削りな繋ぎが最初気になって仕方なかったけど、これも最終的にこの映画に見事ハマってる。
ガラクタみたいな世界だからこそ際立つ、登場人物たち魂に魅了されてしまって、まるで『また遊んでね』って語りかけてくるおもちゃ箱みたいで可愛い。クライマックスのシーンでは、キャプラ映画に通じる人間賛歌的な瞬間もあって、自分もその喝采を送る一人になれた気がして嬉しかったな。


誰もが思い描いた人生を生きれるわけではない。だからと言って、思い描かなかった人生には幸せはないのか?といえばそれも違う。
みっともなくても、泥だらけになっても、前に進もうとするアリスに、勇気を貰える、そんな映画。
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