第二次世界大戦真っ只中のアメリカにて前線に兵士として参加することになった一家の主である長男、彼の帰りを待つ家族たち、そしてその関係者たちによる戦争の終焉を待ちわびながらそれぞれの立場で戦争を支えようとするドラマを長男の帰りを待つ郵便局員の次男(ミッキー・ルーニー)を狂言回しにして描かれたこの当時の日本流にいえば銃後の守りの必然性を唱えた作品。
『肉体の悪魔』などで知られるベテラン監督クラレンス・ブラウンの戦争へのメッセージのなかにユーモアや歌などサービスシーンを忘れない心配りや、合間に子供のほっこりするやりとりを入れるバランスのとれた演出により最後まで楽しめることができた。あと冒頭で既に亡くなっている主人公の父親が家族の様子を天からの視点で眺める演出がユーモアで、それがラストの「帰還」につながっていくのが粋。
あと主人公の職業を郵便局員にすることで、普通の生活の中で戦死の報告を遺族に届けたり重要な連絡を傍受したりと戦争というものを身近に感じさせていく演出が上手い。
ラストは結構シビアだが、失意に陥った主人公が関わる人物とのやりとりを通して「銃後を守れ」というメッセージが伝わってくる。
ちなみに戦争を国民一致で頑張ろうと謳っている割には黒人が一切出てこなかったり、幼い弟が主人公に「黒人は?」と聞くと主人公が「別の区域に分けられて住んでいる」と平然と答えたりする場面があったりと『ミシシッピー・バーニング』的な差別意識がこの当時は普通だったんだなと思ってしまった。
戦死者を報告する場面で、「パプアニューギニアで戦死云々」と語る場面は日本人ならちょっとドキッとするはず。