Ark

アメリカン・サイコのArkのネタバレレビュー・内容・結末

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

シリアスな殺人鬼の話かと思ったら全然違った。いい意味で。

謎が多い作品。普通に見ていたら見過ごしてしまうような、登場人物の何気ない表情や動作が地味に伏線になっている。厳密には「ヒント」ですかね。
それから、一番重要なのはこの作品が1980年代のアメリカ社会を風刺している作品だということ。
豪華な誰もが羨む高級な調度品、高級ブランドのスーツやお店。高級な部屋。他人の中身には何の興味もなく、上辺しか見ない。ステータスにしか興味がない。こういった当時のアメリカの社会を風刺しているらしい。それを知った上で内容を思い返してみると、かなり強く皮肉っぽく風刺されていると気付く。全員が他人に関して「無関心」。これがキーとなる。

まとめておこう。
謎を呼ぶポイントは
・斧でぶった切ったはずのポール・アレンがロンドンで生存していること
・死体遺棄場と化していた、主人公がポール・アレンだと思い込んでいる人物の部屋を訪ねると部屋に死体は1つもなく、ポール・アレンの部屋じゃないと不動産屋に言われたこと
・廊下を血濡れ全裸チェーンソー白スニーカーで疾走し、絶叫しながら逃げるクリスティを追いかけていても住人が誰も気づかないこと
・パトカーのガスタンクを一撃で都合よく撃ち抜けたこと…などのありえないシーンが幾つかあること
謎が多いと書いたのはこれらのポイントで、これがどうやら違和感の謎を解くヒントらしい。

パトリックが殺人鬼で人を何人も殺しているのは事実だけど、私たちが見せられていた映像の中にはパトリックによって大いに脚色された妄想が入り交じっているみたい。これってなんかシャッターアイランドのテディみたい。
・パトリックが殺したのはポール・アレンだと勘違いしていた別人で、本物のポール・アレンは実際は死んでおらず、先にパトリックはポールがロンドンに行く予定だと調べていたのか偶然かは謎だが実際にロンドンにいる
・実際にはクリスティはバスルームで捕まった時に死んでいる
・警察車両と揉めたシーンは誇張した妄想だが、あのとき外で人を殺したのは本当でオフィスで告白したのも本当。だけど清掃員や受付の人の殺したのは妄想
・不動産屋が「事件なんて何もなかった」と言ってパトリックを追い返すシーンはパトリックの一連の犯行が妄想だと暗示しているのではなく、次の入居者に殺人現場だったなんて知れたら困るから「無関心」を貫いていると考えられる

【おもしろシーン】
・血濡れ全裸チェーンソー白スニーカー(しかもマッチョ)で廊下を走り回るシーン
・3Pしてる最中に鏡を見ながら自分の筋肉に見とれてポーズとるシーン
・殺そうとしたらゲイでベタベタ触られて嫌そうに退散するシーン
・謎の名刺争い

【おまけ】
当初はレオナルド・ディカプリオが第一候補に挙がっていてオファーがいってたらしいが、数ヶ月間を筋トレと日焼けに費やしながら、ディカプリオが断って役が自分に回ってくるのを待っていたクリスチャン・ベールに最終的には決まり、こうなったようです。
「血濡れ全裸チェーンソー白スニーカーで廊下を疾走」のディカプリオver.見てみたかったけど、クリスチャン・ベールの斧振り回し廊下疾走が爆笑だったので問題なし笑
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