このレビューはネタバレを含みます
サイコパスゆえの苦悩が描かれていて興味深い。時代背景もあるが、個性が尊重されず、みんなプロトタイプにいかに収まるのかを重視しているよう。女はひとまとまりに括られ、男も名前なんてどうでもよく、いかに名刺のデザインがかっこいいかなどとペラペラの基準で争っている。そこで自己を表現する手段として殺人を繰り返してしまう主人公。だがそれすらも誰からも気づかれない。彼は殺人がしたいわけではなくて、この誰も自分を理解してくれないという社会構造に対し反抗しているだけなのではないかと感じた。自己顕示欲かなと。そう考えるともがき苦しんでいて、ある意味で可哀想。