daiyuuki

ファイナル・ジャッジメントのdaiyuukiのレビュー・感想・評価

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2009年、鷲尾正悟はアジアの大国オウランの軍事的拡張に危機感を覚え、参院選に立候補して国難を訴える。仲間の協力を得るも、結果は惨敗。数年後、恐れていたことが現実となり、日本はオウラン人民共和国の完全統制下に置かれ、すべての自由を奪われることとなった。人々が希望を失った世界の中で、正悟や仲間たちが見つけた、それぞれの「役割」とは-。
新興宗教「幸福の科学」のプロバカンダ映画。
劇中の「オウラン」は、中国。「未来維新党」は、幸福実現党。幸福の科学は、中国の経済的軍事的侵略に対する危機をアジテートし、軍事増強とアジアの覇権を目指すことを目指し、自民党の大半の政治家が所属する日本会議を支援し、軍事増強する政策を後押ししている。
「沖縄の領有権主張」は、「沖縄の基地反対運動の背後には中国共産党がいる」などというネット右翼お得意の陰謀論がベースになっているし、オウラン軍の軍事ヘリコプターが渋谷の上空を埋め尽くすというシーンからして「在日米軍や自衛隊は何故抵抗しないのか?」と突っ込みたくなるし、オウラン軍がいかにもハリウッド映画に登場する漫画的な悪役なのも幼稚な感じ。世界中の宗教を守るために作った幸福の科学を思わせる組織は、実際は世界中の宗教の上にあると幸福の科学が威張り散らす矛盾があり得ない。左翼思想の政治家がオウランすなわち中国の日本侵略を許すということが、単純過ぎる保守ファンタジー。主人公が座禅を始めたり、悪魔と戦ったり宗教ファンタジーになっていくあたりが、なんだかなぁという感じ。そもそも何故オウランすなわち中国が、資源のない日本を侵略するのか理由が描いていないところが、お粗末。
「オウラン軍を倒すのが、憎しみを捨て愛を説く救世主」というのも、幸福の科学のプロバカンダ映画らしい漫画チックな展開で、失笑もの。
出演する俳優の大半が、小劇場の俳優の演技以下のサムい演技を披露していることが、なんだかなぁという感じ。
ちなみにこの映画の企画者の幸福の科学の主宰者の息子は、現在幸福の科学を脱会しアンチ幸福の科学の動画をYouTubeで配信するYouTuberになっています。主人公の父親に対する反発は、幸福の科学の主宰者の息子の気持ちを反映していることを考えると興味深い。
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