石井輝男監督による60年代東映の時代劇。
エロ要素はほとんどないものの、舞台は江戸の世。
「先輩囚人の股を潜らねばならぬという牢の作法(?)」、「将軍から顧みられない側室がこっそり楽しむ陰間遊び」など、淫靡な設定がチラリと登場するのは面白い。
盗んだ大判小判を肥溜め桶に入れて運ぶというクサい演出や、海底に沈んだ大判小判の上をタコが這うなどユニークな絵面も散見された。
また撮影や編集は、脚本のデティールを丁寧に回収しており、職人気質を感じさせる。
大川橋蔵って色気あるなぁと思い、鑑賞後に調べ始めたら、東映のスターだったと知る。
そもそも「これまで、エログロ以前の東映映画って観てこなかったかも」と思い当たったのだが「東映はいつからあるのだろう」とさらに調べたら、戦後すぐの50年代前半から時代劇やひばり映画を量産していたことがわかった。
いずれも避けてきたジャンルだったので、同社や所属役者に関してここまで無知蒙昧だったのだと、ちょっと反省。
これからは少しずつ、観るようにしようかしら。