ゆみモン

顔のゆみモンのネタバレレビュー・内容・結末

(2000年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

藤山直美がとにかく上手い。
彼女に当て書きされた作品であると聞いて納得。
喜劇の舞台に立つ時の上手さとはまた違う、映画向きのナチュラルな演技力もさすがだ。
整形なんかしなくても、ヘアメイクや服装、そして表情で、こんなに女は変わるのだ。

自己肯定感の低い、人との関わりが下手な正子。その根っ子は変わらないまま、少しずつ堂々とする部分が垣間見えるようになる。納得できる範囲のリアリティある変化だ。
でも、正子には洋裁・繕い物という特技があるのだから、本当はもっと自分に自信を持っていいはずなのだが…。そこは、妹との関係に理由があるのだろう。

周りを固める、演技派の大楠道代、トヨエツ、佐藤浩市、國村隼…らがまた素晴らしい。

ラストの、正子が海を泳いで逃亡するシーンは、「泳げるものなら泳ぎたかった」と言った正子が一晩だけ砂浜で男に泳ぎを教えてもらう場面とリンクしている。もちろん、泳ぎきれるはずもないのはわかっているが、印象的な終わり方だ。