けーはち

顔のけーはちのレビュー・感想・評価

(2000年製作の映画)
3.5
整形で顔を変えて15年逃げまくった有名な殺人犯・福田和子。彼女自身ではなくその事件を参考に逃亡中の殺人犯を描くヒューマンドラマ。生き辛い境遇の女性が妹を殺し、同時に起きた阪神淡路大震災によって逃げのびるという展開だが、当時のローカルTVCMなどで煮詰めた関西の空気感にピタッと沿った主演コメディエンヌ藤山直美のちょっとトボけた感で陰鬱さの中に軽妙さを帯びた悲喜劇。実在の福田和子のように整形せずとも人の「顔」は変わるというテーマは面白い。ただ、最初は衝動的に靴も履かず家を飛び出しボヤッと電車に乗って遠くへ出かけたりしていた自閉症気味の主人公の女性の知能や対人能力までもが展開に合わせて完全に変化するのは御都合主義が過ぎるし、殺人したりレイプの被害に遭うのを自らの枷を外すキッカケとして捉えるのは犯罪行為を美化しすぎかなぁと思う。ともあれ、酷い境遇でも塞ぎ込まず何かキッカケを得て積極的に行動していくと良いことあるよ、ってな解釈でええんかな。