ベビーパウダー山崎

のれんと花嫁のベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

のれんと花嫁(1961年製作の映画)
3.0
津川雅彦のコーラスグループ、伴淳三郎の長崎カステラ、月丘夢路の東京カステラ、佐野周二の材木屋、それに佐野周二の娘の倍賞千恵子。三つ四つの軸が同時進行で進み、終盤の長崎で一応の決着がつく。それぞれが各々の理由をつけて(かなり強引に)長崎に向かい、ラストはフェリーニとかウディ・アレン映画っぽく登場人物が一堂に会してなにかが起きるのかと期待したが、そんな流れでもなく、場面場面でドタバタさせてのハッピーエンドで終わってしまったのはちょっとガッカリした。伴淳三郎を御供する大泉滉はゲイの役柄なんだろうか、気になった。佐野周二の芝居はいつも軽くて古さを感じさせない。この素晴らしい役者が出ているだけで現代的な映画に見える。
中心の人物の物語をただ追っているだけではなく、脇役の人生までそれなりにしっかり描いていくるのは本当に番匠義彰。群像劇とまではいかないが、多くの人物を配置し捌きながら一枚の絵を浮かび上がらせる映画ばかり撮っていて感心する。