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ステップ・アクロス・ザ・ボーダーの一のレビュー・感想・評価

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フリスと太鼓奏者による演奏シーンのあとの、「あついあつい」と言いながら野焼きの火を叩いて消す爺さん→無駄にダイナミックな鹿威し→太鼓を作る職人→駅の構内かどこかでバケツドラムを叩く黒人青年→ハンマーで敷石を叩く手元のアップという打打打なコラージュにアガる。時間も場所もまさにstep acrossで心地良い。特に印象的だったのは、なにやら大仰に回転して何かをこねている機械であり、ゴミをスクラップする機械であり、そして頻繁に現れる鉄道だ。最近読んだ長谷正人『映像という神秘と快楽』の「映画という反復の快楽」という章をものすごく思い起こさせる。そこでは、鉄道に乗る快楽と映画を見る快楽の類似性(機械的反復)が語られているが、フリスの指揮によるミュージシャンたちの演奏もまた機械的反復といえるし、反復の快楽を実践した映画なのでは。あとは、海辺でバイオリン弾いてカモメの群れにたかられてるフリスがかっこいー。
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