odyss

ショパン 愛と哀しみの旋律のodyssのレビュー・感想・評価

2.5
【ダメ母サンド】

芸術家を扱う映画も難しくなってきているのかも知れない。ピアノの詩人ショパンを映画化してこういう作品になってしまうのは、昔みたいに単純に芸術家をたたえる映画がもう不可能になってしまっているからかな、なんて思いました。

私はショパンの実生活についてはよく知らないんですが、まあ、この映画みたいだったのかも知れませんけどね。でも、リアリズムで行けばいい映画になるってものでもないし。

この映画を信用するなら、やっぱり諸悪の根源はジョルジュ・サンドですよね。一見すると、息子とサンドという二人の「息子」に振り回されているようではあるけれど、でも、サンドってこういう男が好きだったんじゃないですか。というより、こういう男しか愛せなかったんじゃないかな。「息子」役の男に振り回されることでしか、「男」と正面から付き合えなかった人だったのかもしれないよね。でも、男からするといい迷惑なんだよね。男をダメにする母役しかできなかった、ということだから。

いや、ショパンはまだ天才だったからいい。ちゃんと作品を後世に残したしね。でも、実の息子はどうなるの? 母にスポイルされたダメ息子以外に何にも残らない。一将功なりて万骨枯る・・・・いや、一母満足して多数の息子枯る、なんてね。
odyss

odyss