夏藤涼太

キル・ビル Vol.2の夏藤涼太のレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)
4.1
vol.2の評判がイマイチなのは知っていたので(vol.1を見る前は)見るか迷っていたが、vol.1が思ったよりガッツリ途中で終わっていて、これは見ないわけにはいかないと、連続して見た。

vol.1と比べて尺が長い割にアクションシーンは短いので、なるほど低評価を下す人がいるのも頷けるのだが、映画としては、vol.2の方がタランティーノ映画っぽかったと思う。全体のテンポとか、台詞回しとか、ドラマの作りとか。

ただ、vol.1のキレッキレの構図に惚れていたことと、2の方がタランティーノっぽいとはいえ、台詞回しなら『パルプ・フィクション』とかのが面白いし、『ワンス・アポン・ア・タイム』みたいに脚本的に凝っているわけでもないので、やはり個人的には……というより映像的には、vol.1の方が好みかな。

それでもストーリー的には満足してるし、すっきり終わってくれたので、4時間通して見るかいがあったという感じ。
でも、ギャグセンは2の方が高かったかな…?

もはやリスペクトじゃなくてバカにしてるだろってレベルでパイメイ師匠で遊んでくるし、板を突き破るのはわかるけど土中から抜け出せるカンフーとか意味不明で、もはや武術家や気功家じゃなくてゾンビだし、つーか「五点掌爆心拳」はカンフーじゃなくて完全に北斗神拳だし……
あと、あんだけ必死になって覚えんたんなら、vol.1でも使ってやれよ、カンフー。パイメイ師匠が草葉の陰から泣いてるぞ。

しかしvol.2で何よりよかったのは、ビルのキャラの(いい意味での)解釈違いである。

『恨み節』は1・2共通の主題歌だが、1では、娘を殺された主人公の歌であると完全にミスリードされていた。
それがまさか、ラスボスたるビルの、自分を裏切って逃げた愛する女への愛憎の気持ちを歌った歌だったとは……。

アクション映画・マフィア映画と見せかけての、まさかの恋愛映画とは気づかなかった。金髪女があまりにも好きすぎる男の話だったんだね……。
夏藤涼太

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