いののん

キル・ビル Vol.2のいののんのレビュー・感想・評価

キル・ビル Vol.2(2004年製作の映画)
5.0
1回目に観たときには、自分の感情を言葉にすることができなくて、というより、自分がこの映画をどう思っているのかもよくわかんなくて、レビュー書こうと思っても1文字も書けなくて、だからしばらくそのままにして、日をおいて再び観賞。それで、2回目は、やたらに泣ける。そういえばユア・サーマンもよく涙を流していた。ああ、私はこの映画が好きなんだと、2度目にそれを確かなものとして実感した。


エルはこう言う。“~「おびただしい」って好きよ。めったに使わない言葉だわ。~” そう、この映画自体が、おびただしい。何がおびただしいって、タランティーノの映画愛がおびただしい。タラは、大事なことはみんな映画から学んだのだろうか。映画愛選手権なるものがあったとしたら、自ら立候補して、優勝を狙いにいくに違いない。映画への確固たる愛。先達の様々な映画を愛し、その全部を、自分の身体を通して、揺るぎないものにしている。そして、その愛を私たちに伝えてくる。大事なことは、師匠から弟子へと、秘密裡に、確信をもって伝えられていくように。弟子は、何度も何度も気の遠くなるような繰り返しの修行の果てに、ようやく真理の尻尾の先を掴むことができるように。


バドはこう言う。“おれは自分の犯した罪から 逃げたくないんだ。あの女は 復讐して当然だ。おれたちも 殺されて当然だ。” ユア・サーマンはどこまでも追いかけてきて追い詰めて、きっと復讐を貫徹するのだろう。復讐される者たちは、ユア・サーマンが何処までも追いかけてくることを、きっと待ち望んでもいるのだろう。棺のなかで流れるマカロニのメロディ。徐々にそのメロディが、トルネードを始める。あそこから、私のなかにもあるのかもしれない、熱い何かに突き動かされる。皆さんはご存知ないと思うので、こっそりと秘密裡に教えてさしあげますが、実は私は、強い女が主人公を演じる映画が、好きだったのです。知らなかったでしょ? 私も自分のことですが、初めて知ったんです。何度も何度でも、それを初めてのことのように実感するのだと思います。何度も何度でも出会い直したい。感じたい。映画のなかで語られる、修行も復讐も後悔も愛も、そう、全ては愛だった。



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タランティーノ!すげえよ。多くの人に愛され、かわいがられ、親しまれているのも、わかるようになってきたっちゃ。俺の趣味をタラはわかっとる、アタシの好きな映画をタラちゃんも好きでいてくれはる、って、みんなそんな風に思うんやない? いや、それとも、タラちゃんが好きなもんがアタシも好きってなるんやろか。そこんとこ、まだようわからへん。タランティーノ監督作品に出会ってからまだ半年足らずのアタシが、こんな風に語って良いものか、自信はないけど、今、アタシはそんなことも感じている。



〈追記〉2023年9月
ジョン・ウィック再鑑賞してたらどうしてもキル・ビルが観たくなった。マカロニにもカンフーにもやたらと胸があつくなってしまう。やっぱりとても好きだー
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