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あすなろ物語の3104のレビュー・感想・評価

あすなろ物語(1955年製作の映画)
3.4
井上靖の同名小説の映画化。
主人公・梶鮎太の小中高それぞれの頃を描く3部構成(3部のみなぜかツルゲーネフの『初恋』が下敷)。

彼が巡り合い影響を受ける3人の女性がそれぞれに特徴的で、作品内でもきちんと描き分けがなされている。
なかでも岡田茉莉子演じる、純粋な心と激しい気性を備え持った冴子。根岸明美演じる、姉や母のように鮎太を導く雪枝。この2人とそのパート全体がつとに魅力的。
久我美子演じる“いじわる”な玲子が出てくる最後の部分も悪くはないのだが、未熟で青臭く残酷だった小中のパートの後だからか、観ていてどこか話が平坦で引き込まれない。テンポとしても失速してしまい、なんとも煮え切らない終わり方。

全体に共通する評価点といえば、直接的ではないもののきちんと「エロス」を描いているところか。
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