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DISTANCE/ディスタンスの708のネタバレレビュー・内容・結末

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

是枝監督の初期の作品。ずっと気になっていたのですが、やっと観ることができました。

カルト教団「真理の箱舟」が無差別殺人を起こした後、5人の実行犯が教団の手で殺害されて教祖も自殺。その実行犯たちの遺族4人が命日に集まり、遺灰が撒かれた山間の湖で慰霊に行ったものの、車を盗まれてしまい、偶然そこに居合わせた元信者の坂田の案内で、実行犯たちが潜伏していたロッジで一夜を共に過ごすという話。

是枝監督の初期の撮影を手掛ける山崎裕がドキュメンタリー出身ということもあり、ドキュメンタリータッチな仕上がり。西川美和が助監督を担当してます。キャストには自分の出演パートの自分の台詞だけが記された脚本を渡されて、それぞれの感性で仕上げていくというスタイルのせいもあって、手探りしながら演技をしているんだろうと思うのですが、台詞がかなり聞き取りづらいです。でも、それがより生っぽいドキュメンタリーっぽさを高めているように思えます。僕は嫌いじゃないです。

加害者の家族も被害者なんだなぁと、誰もが思うんじゃないでしょうか。

敦(ARATA、現:井浦新)は姉の夕子(りょう)を亡くし、勝(伊勢谷友介)は兄(津田寛治)を亡くし、実(寺島進)は元妻(山下容莉枝)を亡くし、きよか(夏川結衣)は夫(遠藤憲一)を亡くしていて、合間合間でそれぞれの出家のシークエンスが差し込まれています。坂田という元信者(浅野忠信)と加害者遺族が共に一夜を過ごすということで、何か起こるんじゃないかと思わせておいて、特に何も起きずに朝を迎えてホッとしたものの、帰路の電車の中で坂田が敦に「あなたは一体誰なんですか?」という質問。それまでの穏やかな流れに一石を投じます。

坂田は夕子と生前親しくしていて、弟が自殺していることを聞いていたので、坂田は疑問に思っていたそう。結局、敦はうまくその場をごまかしますが、実は敦は教祖の息子というオチでした。それぞれの遺族の家族との回想シーンの中で、敦と夕子のシーンだけが姉と弟っぽくないと違和感を感じていたし、遺族たちが事情聴取を受けているシーンもそれを知って観直してみると、確かに敦は教祖である父のことを述べているとわかります。

ずーっと緩やかに進行していく物語が、ラストでドンデン返しするような感じが結構好きでした。
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